「子どもに財産を渡したいけれど、生前に贈与するのと、死後に相続するのでは、どちらが税金が安くなるのだろう?」
将来の財産承継について、このようなお悩みを抱えていませんか?
結論から言うと、贈与と相続の「どちらが得か」は、お持ちの財産額やご家族の状況によって全く異なります。
この記事では、贈与税と相続税の決定的な違いやメリット・デメリット、そして「どっちがお得になるのか」のケース別シミュレーションを、税理士がわかりやすく解説します。
最新の税制改正ポイントも踏まえて解説しますので、ご自身にとって最適な方法を見つけるための参考にしてください。
1. 贈与税と相続税の決定的な3つの違い
贈与税と相続税は、どちらも「無償で財産を受け取ったときにかかる税金」ですが、仕組みには大きな違いがあります。まずは決定的な3つの違いを押さえましょう。
違い①:財産を渡すタイミング(生前か死後か)
- 贈与税: 財産を渡す人(贈与者)が「生きている間(生前)」に財産を渡したときにかかる税金。
- 相続税: 財産を渡す人(被相続人)が「亡くなった後(死後)」に財産を引き継いだときにかかる税金。
違い②:基礎控除額(非課税となる枠)の違い
基礎控除とは、「この金額までなら税金がかかりませんよ」という非課税枠のことです。
- 贈与税の基礎控除: 年間110万円(暦年課税の場合)。1月1日〜12月31日の1年間で、もらった財産が110万円以下なら税金はかからず、申告も不要です。
- 相続税の基礎控除: 3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)。たとえば、相続人が子ども2人の場合、4,200万円までは相続税がかかりません。
違い③:税率の仕組みと計算方法
どちらも、もらった財産が多いほど税率が高くなる「累進課税」を採用しており、税率は10%〜最高55%です。
しかし、同じ金額を渡す場合、基本的には相続税よりも贈与税のほうが税率が高く設定されています。これは、生前贈与による極端な税逃れを防ぐためです。
2. 【一覧早見表】贈与税と相続税の比較表
2つの税金の違いを、わかりやすく一覧表にまとめました。
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項目 |
贈与税 |
相続税 |
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発生タイミング |
生前 |
死後 |
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申告義務者 |
財産をもらった人(受贈者) |
財産を引き継いだ人(相続人) |
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基礎控除額 |
年間110万円(暦年課税) |
3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数) |
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税率 |
10% 〜 55% |
10% 〜 55% |
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財産を渡す相手 |
自由に選べる(血縁関係がなくてもOK) |
原則として法定相続人(遺言書があれば別) |
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申告・納税期限 |
財産をもらった年の翌年2月1日〜3月15日 |
相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内 |
3. 贈与税(生前贈与)を利用するメリット・デメリット
生前に財産を渡すことには、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
メリット:渡す相手やタイミングを自由に選べる
生前贈与の最大のメリットは、「誰に・いつ・何を・どれくらい」渡すかを、ご自身の意思で自由に決められることです。
子どもや孫の進学、結婚、住宅購入など、お金が必要なタイミングを見計らって財産を渡すことができます。また、孫や息子の妻など、本来の相続人以外にも確実に財産を渡すことが可能です。
デメリット:相続税よりも税率が高く設定されている
前述の通り、一度に多額の財産を贈与すると、相続税よりも重い税負担が発生する可能性が高いです。また、不動産を贈与する場合は、相続時に比べて不動産取得税や登録免許税などのコストが余分にかかる点にも注意が必要です。
4. 相続税を利用するメリット・デメリット
一方、亡くなった後に財産を引き継ぐ相続には、以下の特徴があります。
メリット:基礎控除額が大きく、非課税になるケースが多い
相続税の基礎控除は最低でも3,600万円(法定相続人が1人の場合)と非常に大きいため、大多数のご家庭では相続税そのものがかかりません。 また、「小規模宅地等の特例」や「配偶者の税額軽減」など、税負担を大幅に減らせる特例が豊富に用意されています。
デメリット:相続人同士のトラブル(争族)になるリスクがある
生前に誰に何を渡すか決めていない場合、遺された家族間で遺産分割を巡るトラブル(いわゆる「争族」)に発展するリスクがあります。また、相続税が発生する場合は、現金で一括納付しなければならないため、不動産ばかりで手元に現金がないと、納税資金に困るケースがあります。
5. 結局どっちが得?ケース別の節税シミュレーション
では、あなたの場合はどちらを選ぶべきでしょうか。代表的な2つのケースをご紹介します。
ケースA:財産の総額が「相続税の基礎控除額」以下の場合
- 結論:無理に生前贈与(贈与税の申告)をする必要はなく、相続で問題ありません。
財産の総額が「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」の範囲内に収まる場合、そもそも相続税は1円もかかりません。このようなケースで慌てて多額の生前贈与をしてしまうと、かえって贈与税を支払うことになり、損をしてしまいます。
※ただし、「特定の相手に確実に財産を残したい」という目的がある場合は、遺言書の作成や非課税の範囲内での贈与を検討しましょう。
ケースB:財産が多く、相続税が高額になりそうな場合
- 結論:早い段階から生前贈与(暦年贈与や相続時精算課税制度)を活用し、財産を減らしていくのが得です。
基礎控除を大幅に超える財産がある場合は、将来多額の相続税が発生します。この場合、贈与税の非課税枠(年間110万円など)を利用して、数年から十数年かけて少しずつ財産を子どもや孫に移転していくことで、将来の相続財産を減らし、結果的にトータルの税負担を大幅に抑えることができます。
6. 【重要】知っておくべき2024年(令和6年)施行・税制改正のポイント
生前贈与を活用するなら、絶対に知っておかなければならない近年の重要なルール変更があります。
生前贈与の持ち戻し期間が「3年」から「7年」へ延長
亡くなる直前の駆け込み贈与を防ぐため、「亡くなる前の一定期間内に行われた贈与は、無かったことにして相続財産に足し戻して計算する(持ち戻し)」というルールがあります。
この期間が、これまでの「3年」から「7年」へ段階的に延長されました。つまり、生前贈与で節税効果を得るには、今まで以上に「早めのスタート」が必要不可欠になっています。
「相続時精算課税制度」の使い勝手が向上(年110万円の基礎控除創設)
2,500万円までの贈与が非課税になる「相続時精算課税制度」ですが、これまでは一度選択すると少額の贈与でも申告が必要になり、敬遠されがちでした。
しかし改正により、この制度内でも新たに「年間110万円までの基礎控除(非課税・申告不要)」枠が創設されました。これにより、大幅に使い勝手が良くなり、今後の節税対策の主流になる可能性があります。
7. 生前贈与や相続対策を税理士に相談・依頼するメリット
「基礎控除の範囲内で自分で少しずつ贈与すれば大丈夫だろう」と考えていると、思わぬ落とし穴にはまることがあります。専門家である税理士にご相談いただくことで、以下のメリットがあります。
状況に合わせた最適な「節税プラン」をご提案可能
「暦年贈与」と「相続時精算課税制度」、特例の活用など、お客様の財産状況やご家族構成によって最適なプランは異なります。税のプロがシミュレーションを行い、一番損をしない方法をご提案します。
税務署から指摘されやすい「名義預金」などのリスクを回避
親が子どもの名義で勝手に口座を作って預金している「名義預金」は、税務調査で非常に指摘されやすいポイントです。税務署に「贈与が成立していない(親の財産である)」とみなされないための、正しい贈与契約書の作り方や証拠の残し方をアドバイスいたします。
複雑な申告手続きを丸投げできる
万が一税金が発生する場合でも、面倒な書類作成から申告手続きまで、すべて税理士にお任せいただけるため、手間と心理的な負担を大幅に削減できます。
8. まとめ:贈与と相続で迷ったら、まずは無料相談へ!
贈与税と相続税の違いや、どちらがお得になるかについて解説しました。
- 基礎控除以下の財産なら、相続税はかからない。
- 財産が多い場合は、早めに生前贈与を始めるのが吉。
- 税制改正により、より早くから計画的に対策することが重要になった。
「自分の場合は相続税がかかるの?」「今からできる対策はある?」など、少しでも不安や疑問を感じたら、ぜひお早めに当事務所へご相談ください。

