MENU 

お知らせ

お知らせ

SCROLL
 >  お知らせ >  相続税の申告期限の延長とは?申告期限に間に合わない要因についても解説!

相続税の申告期限の延長とは?申告期限に間に合わない要因についても解説!

 

1―1そもそも相続税の申告期限とは



相続税の申告期限は「相続の開始があったことを知った日の翌日から10月以内」となっています。
通常は亡くなった日にそのことを知るので10月10日にお亡くなりになった場合、10月11日(相続があったことを知った日の翌日にあたり)から10か月以内なので8月10日が申告期限になります。
同じ日が相続税の納付期限にもなります。

細かい話ですが「相続の開始があったことを知った日」となっているのは、いつお亡くなりになったのかわからないケースで国税庁に下記事例があります。
認定死亡と相続開始があったことを知った日|国税庁 (nta.go.jp)
この事例の場合、海上保安庁が甲の死亡の報告を死亡地の市町村長に行ったことを知った日をもって相続の開始があったことを知った日となっており、死亡届出書を提出した日ではありません。
この事例は認定死亡という扱いで、実際にお亡くなりになったのかの確認もできないというお話にはなるのですが…。
今後増えるだろうなというのは「孤独死」の取り扱いです。
この場合いつ相続の開始を知った日になるのかは規定はありませんが、「警察から連絡があった日」と考えて準備するのが一般的だと思います。

相続があった日と、相続の開始があったことを知った日が違う場合、なぜこの日が「相続の開始があったことを知った日」になるのか客観的な記録、資料がある方が望ましいです。

1-2相続税の申告期限の延長



相続税の申告期限ですが、基本的に認められていません。
そのため、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内に申告、納税を行う必要があります。
ただし次のような場合には延長が認められます。
しかし、ほとんど目にしたことはありません。

  • 遺留分の減殺請求があった
  • 相続人の異動があった
  • 遺贈にかかる遺言書があり、法定相続人以外の人が財産を受贈した

    【コロナに関して】
    ただし、コロナに関しては申告期限に関して延長が認められています。
    従前に関して言えば相続税の申告書第1表の右上に、「新型コロナウイルスによる申告期限延長」と記載することで、申告期限および納付期限を延長することができていました。
    ただし2021年の4月16日以降に相続税の申告期限を延長する場合は、「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を、提出することが必要になりました。

    内容は国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ (nta.go.jp)
    様式は[手続名]災害による申告、納付等の期限延長申請|国税庁 (nta.go.jp)です。
    記載例は0020004-074.pdf (nta.go.jp)
    書式内に被災状況を記載する箇所がありますがこちらについては、コロナの場合の具体例として国税庁が明示しているのが

    □税務代理等を行う税理士(事務所の職員を含みます。)が感染症に感染したこと
    □納税者や経理担当の事業専従者が感染症に感染した、または、感染症の患者に濃厚接触した事実があること。
    □納税者や相続税申告を担当する税理士が、次のような事情により保健所・医療機関や自治体等から外出自粛要請を受けていること。

     ・感染症の患者に濃厚接触した疑いがある
     ・発熱の症状があるなど、感染症に感染した疑いがある
     ・基礎疾患があるなど、感染症に感染すると重症化するおそれがある

    □生活の維持に必要な場合を除き、みだりに自宅から外出しないことが要請されていること。

    従前の、申告書の右上に記載するという方法と比べて、客観的な事実が求められており、厳格化してきたという印象です。
    またこの規定は個別に申請した者のみ認められる規定なので、相続人間で申請した人と申請していない人がいる場合申告期限が違ってきますのでご注意ください。
    ※実際の申告で申告書の右上に記載して申告期限を延長したものありましたが、何件かはその後税務署から問い合わせがありました。(特に認めないというものではありませんでしたが)
    この部分については今後のコロナの状況により変動すると思いますのでその都度確認する必要がでてくると思います。

1-3相続税の申告期限に間に合わないとき



それでは相続税の申告期限に間に合わないときはどうなるのでしょうか?
相続税の申告期限に間に合わないときのデメリットは、金銭的な部分と相続税の申告で使えない特例が出てくるという部分で二つあります。
【金銭的な部分】
□相続税の申告書は期限内に提出したけれど納税が間に合わなかった場合
納付期限(申告期限)の翌日から納付した日までの日数に応じて、利息に相当する金額が延滞税として課税されます。
延滞税の割合は
① 【納期限の翌日から2月を経過する日まで】
年「7.3%」と「特例基準割合+1%」のいずれか低い割合
② 【納期限の翌日から2月を経過する日の翌日以後】
年「14.6%」と「特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合
特例基準割合とは毎年12月に財務大臣が公示する割合で、年1回見直しが入ります。
基本的に「特例基準割合+1%」の方が低くなるので、そちらを使用します。
令和3年分については①は2.5%②は8.8%となっております。
延滞税の割合|国税庁 (nta.go.jp)

□そもそも相続税の申告期限に申告書の提出もしなかった場合(無申告加算税)
無申告だったものを申告する状態が、「自主的」なのか「税務署の指摘を受けて」なのかにより税率が違います。
●自主的申告:5%
●税務署の通知を受けて申告(税務調査前):10%(50万円超部分は15%)
●税務調査の結果として申告:15%(50万円超部分は20%)
●さらに過去にも違反の前科あり:25%(50万円超は30%)
※過去5年以内に重加算税等を課された人

仮に相続税の納税額が2000万円ある場合
自主的申告でも 2000万円×5%で100万円
通知を受けた場合で 50万円×10%+(2000万円-50万円)×15%で2975000円のペナルティになります。

□申告書は提出したけど、当初行った相続税の申告における相続税が不足していた場合
(相続財産はこれで全部と思って申告したけど、申告後に新たに相続財産がでてきて実は納めなきゃいけない相続税が当初より多かった場合等)
(過少申告加算税)
●自主的(税務署からの問い合わせ前) 0%
●税務調査の事前通知後、調査を受けるまでに申告 5%(一定の部分10%)
●税務調査を受けてから 10%(一定の部分15%)
※一定の部分とは、追加納税額が期限内申告額と50万円のいずれか多い額を超える場合における超える部分になります。
(重加算税)
故意に相続財産を隠ぺいした場合など特に悪質と認められる場合に課される税金です。
●無申告の場合…40%
●過少申告(申告書を提出していた場合)…35%

相続税の申告が間に合わないとき(特例が使えないデメリット)
相続税の申告には様々な特例があります。
特例を使って相続税を軽減することが可能です。
期限内でないと適用できない特例が「農地の納税猶予」「非上場株式の納税猶予」です。
また小規模宅地の特例についても期限後申告では適用できないケースがあります。
そのため相続税の申告期限までに申告、納税をするというのは基本的に行うという姿勢の方がよいかと思います。

1-4相続税の申告が間に合わない要因



また相続税の申告が期限までに間に合わない事例としては次のものが考えられます。(災害、コロナ以外で)
①相続税がかからないと思って放置していた
相続税の基礎控除は 3000万円+600万円×法定相続人の数 です。
例えば、父、子2人(母はすでに他界)の状態で父に相続が発生した場合 
基礎控除は 3000万円+600万円×2人で4200万円です。
父の相続財産がこの4200万円いかないのであれば基礎控除額以下で相続税については申告も納付の義務もありません。
この父の相続財産の評価方法の勘違いで、実は申告義務がないと思っていたら申告しなくてはいけなかったというケースもありますので、一度税理士にご確認ください。

②被相続人(亡くなった人)の財産が多すぎて評価が間に合わない
このケースの場合、概算で一度申告期限までに相続税の申告をして、後々財産評価が確定した場合に申告をもう一度するという方法を選択するのか、加算税、延滞税覚悟でそれでも財産をはっきりさせるのかの選択になると思います。
一般的には概算で一度申告の方がよいのではないかと思いますがケースバイケースです。

③遺産分割がきまらない
財産の評価額も決まっているのに、どの財産を誰がとるのかがはっきり決まらない。
この場合、相続財産の評価額はきまっているので、その財産を民法の法定相続分で分割したと相続税の申告を行います。
ただし、未分割なので配偶者の税額軽減、小規模宅地等の特例は使えません。
遺産分割が確定して時には、再度税務署に申告をして上記の特例を使えることはできますが、最初の申告では「特例」を使えないのでその分最初に納める相続税の総額は大きくなります。

1-5 申告期限でイレギュラーなもの


最後に申告期限の延長という扱いではないですが、申告期限について変更になる場合もございます。
例えば例のように二次相続が発生した場合です。

□二次相続が発生した場合
 一次相続の時点での相続人は、祖父の配偶者である祖母と父になります。
 ただ相続税の申告書を提出する前に父が亡くなってしまったというケースについてです。
 例:祖父(令和2年12月20日死亡)…相続人 父 祖母
    父(令和3年2月10日死亡)…相続人 母 子

この場合の相続税の期限は
一次相続…祖母提出分…令和3年10月20日
     母、子提出分…令和3年12月10日となり、母と子の分については父の相続から10か月以内となります。(この場合母、子は祖父と父の申告期限が同じになります。)
この事例のように、祖父の相続税の申告期限が、相続人によって変わってくることもあるので注意が必要です。

相続が発生した場合には、さまざまな手続きも発生し、そもそも感情が安定するまで時間のかかることもあるかと思います。
判断に迷われたときは税理士にご相談ください。

ページTOPへ